小林 裕児 Kobayashi Yuji
絵画

  • 「作品タイトル 想ー藍靛に」
    展覧会開催中、本作品はオンラインショップからご購入することができます。

小林 裕児
Kobayashi Yuji

1.現在の仕事に惹かれたきっかけ(エピソード)
電車で本を読む癖があった私にとって、コロナ禍での外出自粛は本の読めない日々となりました。コロナ禍をどうとらえたらよいのか困惑する私に、親しい友人が多くの論評や本を紹介してくれました。まず「コロナの時代の僕ら」(パオロ・ジョルダーノ著)を読むと、これも面白いと「未来のルーシー」(中沢新一✕山極寿一著)をおしえてくれました。その後は読書サーフィン状態で、作中に引用された本や言葉が気になり、スティーブン・ミズンの「心の先史時代」、「氷河期以降」と読み続き、気が付けばきちんと机に向かって本を読んでいました。あらためて洞窟絵画を再考したくて本棚に買い置いた「洞窟へ」(湊 千尋著)を手にし、今は「歌うネアンデルタール人」(スティーブン・ミズン著)を読んでいます。人類が芸術に目覚める瞬間が、研究者の地道な探索で次々と新事実発見となり、それまでの常識が覆されていくことにワクワクし、洞窟絵画の謎に満ちた魅力に一層引き込まれています。

2.作品や、ご自身の暮らしで大切にしていること
はじめのパニック状態を脱し、新型コロナウィルスと共に暮らす生活に少し慣れてきました。冷静になってみると、直接人と会い語ることが生きる上で占めていた時間と空間、そこに生まれる感覚や感情、その存在がいかに大きかったかと思い知るようになりました。森に囲まれた合歓の庭にいて、都会から遠く離れているにもかかわらず、社会の規制を日々感じています。この先に人が直接触れ合うことなく暮らす世界が広がるのか、かつての日常に戻れるのか、不安と期待が交錯します。

3.作品への想い・こだわり
家を建てたばかりのころは、それなりの庭を夢見て敷地に草花を植えてみました。こまめな手入れを必要とする草花は私の手におえず花木を植えることにしました。剪定の知識のない私に花木が野放図な成長と衰弱を繰り返すのを見て、「ともかく雑草は刈る」という単純な管理だけが最善の策と悟りました。タイトルの「合歓の庭」とは、我が家の日当たりの良い敷地部分を占有する、合歓にとっての「好ましい庭」とも言えます。合歓の木が雑草を刈り込んだ気持ちよい地面に落とす影は独特で、葉の形が繊細で隙間が多く、まだらな淡い影となります。猫とともに樹の下に立つ私は、初夏の空気と相まってまどろみ、夢うつつのまま、見えないものを見ています。

04.今後に向けてやりたいこと
しばらく中断していた版画制作を再開します。

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