村田 佳彦 Murata Yoshihiko
漆芸立体

  • 「作品タイトル シルエット-つむじかぜ-」
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村田 佳彦
Murata Yoshihiko

1.現在の仕事に惹かれたきっかけ(エピソード)
私にとって漆とは、神秘的で吸い込まれるような深い奥行きを感じさせるものであり、その艶やかさは制作の努力を無情にも感じさせない。そして何よりもどこか陰の気配を感じる素材である。そのような印象から、 学生時代に「陰」をコンセプトとした作品を作り始めた。 ある時、その作品を展示することになり作品を置きスポットライトを当ててみると...なんと「陰」 (作品)に「影」が映し出されたのである。「ゆめうつつ」とでもいうのだろうか、不可思議で儚い感覚だった。
その出来事は、「陰影」という日本の美意識を私なりの方法で追求したいと思うきっかけとなった。


2.作品や、ご自身の暮らしで大切にしていること
私は学生時代に漆と出会い、これまで「陰」をテーマにしたオブジェ、茶道具、かんざし、器など様々なものを制作してきたが、常に意識していたのは漆の魅力を引き出すことだ。それは自身の個性よりもまず漆ありきの姿勢と言えるだろう。始めは多くの苦労や失敗もあったが、漆と向き合い続ける中で様々な漆の美しい表情や質感を発見することができた。
漆は液体がゆえ、人の心のように感じることがある。

神や仏を敬う想いが、仏像や捧げる器を包み込む。
大切に使いたい、美味しくご飯を食べたいという想いが、お椀や箸を包み込む。
人々を幸福にしたいという想いが、箱やカタチを包み込む。

 人々の想いが漆に宿ることで、まるで生命があるかのような、自然の一つのように感じるようになった。 それは私に自然により目を向けさせるきっかけとなり、私の生き方(自然と寄り添っていく)や価値観に大きな影響を及ぼすようになった。

3.作品への想い・こだわり
学生時代に日本の文化や美術に関心を持って以来、仏像や神道美術、水墨画や錦絵、茶道具など、様々な日本の美しいものを見歩いてきたが、その多くが自然の神秘的な美しさを連想させるものであった。古来の日本人は自然に神が宿ると考え、自然に対する信仰心に溢れていた。だからこそ、ありのままの自然の姿を作品に込め、創り続けてきたのではないだろうか。私はその日本人の自然に対する謙虚な心に美を感じている。
 私が自然をモチーフに制作する理由はそこにあり、自然へ敬意を払いながら漆の持つ美しさを壊さないよう、 常に謙虚な姿勢を心がけ、表現しすぎないことを肝に銘じている。美しいと感じた一瞬の感覚、連綿と続く日本の美意識を残すように。


4.今後に向けてやりたいこと
近い将来、国内外において漆はより多様な展開を求められるだろう。
それは、漆が日本の美意識を最も象徴する素材の一つであるからだ。
私はさらに漆と向き合うことで自分の内面へと深く向かい、漆の魅力をより引き出すことで、
その期待に応えていきたい。

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