玉川 信一 Tamagawa Shin-ichi
油絵

  • 「作品タイトル 夜」
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玉川 信一
Tamagawa Shin-ichi

【略歴】
1978年 東京教育大学大学院修士課程教育学研究科美術学専攻修了
1992年 文化庁在外研修員特別派遣渡仏
1999年 「玉川信一の世界展」(喜多方市美術館、茨城県つくば美術館)
2000年 第22回日本秀作美術展(’01読売新聞社主催、日本橋高島屋他)
2004年 「再生する記憶-玉川信一展」(福島県立美術館)、
2017年 「聲の淵 -玉川信一展」(網走市立美術館)、文化庁在外研修制度50周年記念展(日本橋高島屋他)
2019年 筑波大学退職記念「雨の止んだ庭-玉川信一展」(茨城県つくば美術館、筑波大学会館アートスペース他)D56
個展:日本橋三越、日動画廊、新宿パークタワービル、青山色彩美術館、常陽藝文センター他
現在 一般社団法人二紀会委員・理事 筑波大学名誉教授 公益財団法人教育美術振興会理事


【受賞歴など】
1977年 二紀展二紀賞('78’79優賞、’85同人優賞、’89会員優賞、’93宮本賞、’04鍋井賞、 ’08文部科学大臣賞)
1985年 第28回安井賞展佳作賞
1985年 第20回昭和会展昭和会賞D68
2004年 紺綬褒章受章(2019)

1.現在の仕事に惹かれたきっかけ(エピソード)
中学時代に美術担当の先生に褒められたことが美術の道を志すきっかけだったかもしれない。高校時代、大学と恩師に恵まれたのが幸運だった。父を学生時代に亡くし、その後の生活は経済的にかなり厳しかった。それでも自活しながら絵画制作を継続できたのは、絵の中は自由だ、自分だけを見つめていられる、その表現の内容だけは誰にも干渉されないという思いがあったから。妥協だけはしたくなかった。そして油絵具という描画材はそんな頑固で意固地な性格の自分に合っていたと思う。
 20代の後半には5年間聴覚の特別支援学校で教員を勤めた。幼稚部から高等部専攻科、寄宿舎の舎監まで担当した。授業中の彼らの目は新鮮だった。ほとんど全ての情報を目から視覚情報として獲得しなければならない彼らの、私の口元を見つめる視線は強い。口話法というやつだ。当時、手話は使われてはいたものの正式には口話を主体としていた。そして、耳が聞こえないことは日常生活で不便ではあるけれど決して不幸ではないという彼らの考えはとても共感できるものだった。舎監の仕事として1週間に1日の泊りがある寄宿舎で小学生男子の入浴指導をしたり避難訓練をしたのは良い思い出だ。その頃の彼らの表情や道に佇む姿が影響して自然にできた絵がいくつかのコンクールで受賞したのはまぐれかもしれないが、その「ひとのかたち」はそのような環境によるところが大きかったように思う。
 31歳の時に大学教員に就いて以来、その後の35年間、そのうち管理職は15年間、病気を患いながらも二足の草鞋を履き続けられたのは幸運以外の何物でもなかった。


2.作品や、ご自身の暮らしで大切にしていること
2019年の5月に我が家に一頭の子犬を迎えた。4代目になるゴールデンリトリバーのやんちゃな子で1歳と10か月になった今では体重も30キロを超え、リードを引っ張る力もかなり強くなった。かつてはゴールデン2頭と猫3匹を家の中で飼っていたから大丈夫だろうと思っていたけれど、そして老後の寂しさを紛らわすために迎えたのだけれど、自分たち夫婦の齢を勘定に入れていなかった。たぶん運動が足りなくてストレスが溜まっているのだろう。家の中を縦横無尽に走り回り、庭で走る姿は猪突猛進、イノシシのよう。オイルヒーターのコードは噛み千切る(買ったばかりだったので修理代金0だった)。ソファの皮を食いちぎって大きな穴を4個開け、中のクッションを引っ張り出す。なんでも口の中に入れるやりたい放題。老夫婦はついていくのがやっと。散歩から帰って足を拭くときだけは割と素直なことだけが重畳。それにしても簡単な動作を起こすごとに「ヨッコラショ」の掛け声が必要になるとは夢にも思っていなかった。
 犬にとって朝と夕の散歩は欠かせない。私たちの歩数も朝夕合わせると10000歩程度になる。(最近のスマホは便利)私と妻と一匹、のんびりとといいたいけれどほとんど犬に合わせるペースで毎日の散歩が過ぎていくなかで、時々見上げる空は、雲一つない晴れた空、長閑な曇り空、今にも泣きそうな空、満天の星空、月が煌々と輝く空、朝のひかりの空、夕暮れの空、雲の形・色、風の強さ、空気の流れ、千変万化の表情をみせる。
 リタイヤした後の日常生活で、庭の手入れや部屋の整理に加えて犬の世話が忙しいけれど、そんな散歩の途中で目に映じる新しい体験・発見にはわくわくする。そこから思いつく言葉や構想が描く動機づけになっている。気のせいか前よりも庭に咲く花や実のなり具合、風景の移り変わりを意識するようになった気がする。一頭の犬が加わったことが日常に与えるストレスと毎日の生活の変化を楽しみながら、そのことによって思い浮かんでくる映像・構想が徐々に明快な輪郭を現して画面上でリアルになっていくさまが楽しい。


3.作品への想い・こだわり
私の描く絵は全て自画像でありたい。できればそれが祈りの形としてのイコンのような存在に昇華するとよい。描く一筆一筆に筆圧が強くこもり、一寸たりとも動かすことのできない重厚で構築的なマチエールを形作りたい。


4.今後に向けてやりたいこと
 絵描きには代表作が必要だ。作品を発表するようになって50年くらいになるがこの作品こそ私の代表作と自信を持って言えるものがまだない。これから何とかして自他ともに認める代表作を描きたい。
 今までいくつかの表現技法を油彩画の中で実験的に試してきた。今後もアグレッシブに挑戦していきたい。
 公立美術館での企画個展は現在4回。あと3回は実現したい。
 せめて3年に1回程度のペースで個展を開催する精力的な制作姿勢・制作量を保ちたい。

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